社会保険労務士「その他登録」についての考察

社会保険労務士試験に合格すると、実務経験2年またはそれに相当する事務指定講習を終了することで、社会保険労務士の登録をすることができます。

試験に合格しただけでは、単に試験合格者というだけで、「社会保険労務士」を名乗ることはできませんし、社会保険労務士としての業務をすることもできません。

登録の形としては、「開業登録」、「勤務登録」、「その他登録」という3つのパターンがあります。

そのうち、開業したい方は「開業登録」、勤務する事業所で社労士として勤務したい方は「勤務登録」しかありませんので、悩むことはありません。

悩ましいのは、50代サラリーマンの試験合格者が、すぐには社労士として業務をする予定ではないが、近い将来は社労士として仕事をしたいという場合には「その他登録」をすべきか、「登録しないまま」にしておくべきか という問題です。

以下に「登録しないまま」の場合と比較した「その他登録」のメリット・デメリットについて考察していきます。

その他登録のメリット

1)社会保険労務士と名乗ることができます

 試験に合格しても未登録のままであれば、社会保険労務士と名乗ることができません。その他登録をすることで、社会保険労務士と名乗ることができます。

社会保険労務士として実務に従事することができないのは、未登録でもその他登録でも同じです。

2)社労士としての知識・情報がアップデートされていく

 社労士の関連法では毎年のように法改正があり、内容をアップデートしていかないと情報が陳腐化してしまう懸念が大きいですが、その他登録することで最新の情報をアップデートしていく研修会などの機会を得ることができるでしょう。

3)社労士としてやっていこうというモチベーションの維持

 登録せずに何年も経てしまうと、社労士として活躍したいという志が次第に薄くなっていくかもしれません。その他登録をして、現役の先輩社労士の方々と交流機会を持つことで、志の鮮度がキープされると思います。

4)社労士業界での人脈構築への期待

サラリーマンは普段、現役社労士の先生方と接する機会がほとんどありませんので、実際に開業されている方がどのように活躍されているのかよくわかりません。

その他登録をして、積極的に同じ支部の先生方と交流していくことで、メンターやロールモデルとなる先生に巡り合い、自分の活躍の形をより具体的にイメージ化できるようにしたいものです。

5)特定社会保険労務士の研修受講・受験が可能に

特定社会保険労務士とは、ADR(裁判外紛争解決手続)代理業務を行うことができる社会保険労務士です。

 ADRとは、裁判によらず、当事者双方の話し合いに基づき、あっせんや調停・仲裁などの手続きによって、紛争の解決を図ることをいいいます。

特定社会保険労務士となるには、社会保険労務士登録を受けている者が厚生労働大臣が定める司法研修(特別研修)を修了し(登録を受けていない有資格者は、研修の受講は認められていません)、そのうえで紛争解決手続代理業務試験に合格しなければなりません。

その他登録のデメリット

1)入会金や登録手続きの費用が発生する

 登録するためには、登録手数料、登録免許税、都道府県社労士会入会金が必要になります。(入会金は所属する都道府県社労士会によって差異があります)

2)毎年の年会費等が発生する

 登録した後は、毎年の年会費、支部会費が発生します。(所属する都道府県社労士会により差異があります)※開業登録に比べると、その他登録の費用は低く設定されているようです。

まとめ

その他登録のメリットが、デメリットより上回っていれば、その他登録の価値があるということです。

どちらが上回るかは、個々人のキャリア状況や価値観、財政状況にもよりますが、近い将来社労士で活躍したいという思いがあるなら、その他登録で社労士の世界に飛び込んでみたら良いのではと考えます。

grandbliss

「人生100年時代」に、資格やスキルを活かして自由かつ柔軟にチャレンジを楽しみたい50代のサムライ(士)※です。 ※中小企業診断士・社会保険労務士・1級FP技能士

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